ガーベラにチューリップ、カーネーション。軒先に並ぶ色とりどりの花々に道行く人は、足を止める。そして、尋ねる。
「ここは花屋さん?」
何度も質問されてきた田中裕章さん(38)が返す。
「美容室なんです」
田中さんは金曜、土曜、日曜の3日間、自身が大阪市淀川区で開く美容室「Hairstand shui」の軒先に6~8種類の花を並べている。
料金箱を置き、1本100~200円を入れてもらう無人販売。美容室で髪を切った人だけではなく、散歩がてらに買っていく人もいる。
始めたのは、一人暮らしで高齢者のお客さんたちとの会話で感じた思いからだった。
自分なら、花を買う時…
とりとめもない話をしながら髪を切っていると、「家に帰っても1人だしね」とぽつり。どこか寂しそうで、何かできることはないかと考えた。
思い出したのが、2019年…